No.∞

sorariru

No.20

月夜


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夜空を眺めて、星を数えて、花や畑の世話をして、売ったお金で生活をし、道具を買い、描いて、歌って、踊る。
気ままな暮らし。

一日の暗いうちが娘の領分。
暗闇の世界があるので寂しくもなかった。

娘は村外れに住んでいる。
村人も優しかった。

ふと家の近くにある森の方を見ると、蠢く闇が見えた。


つくよとのくらし


それは異形だった。

苦しそうだったので家に連れて帰って世話をした。
闇は娘の味方なので怖くはなかった。
その闇は大人しかった。

数日世話を続けると、形がはっきりしてきた。
それは美しく輝く青年の姿だった。

青年は病気をしていたが娘の世話ですっかり元気になった。
男は女に供に暮らして仕事をすると言った。
闇だった青年は暗いことも平気だった。

夜は娘の世界。皆はいない。
でも一人ではなくなった。

美しい闇と娘はそれから末長く一緒に暮らした。
二人は仲良く一緒に暗闇の世界を生きた。

村人にも祝われて夫婦になった。
村人も二人に優しかった。



#風景


絵はしめ縄と池に映った月、のつもりだった。畳む

ストーリー

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